「 少 女 の 叫 び 」 「 お 願 い だ か ら 痒 い の 治 し て く だ さ い 」


ガラスの仮面を展示. JR京都駅. 2017/11/29先斗町から木屋町に通じる路地. この先竜馬通へ






【 症 例 1 】 30 代 女 性 。 小 児 期、 ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 で あ っ た 。 数 年 前 よ り 皮 膚 炎 が ぶ り 返 し 皮 膚 科 に 通 院 。 ス テ ロ イ ド 軟 膏 を 使 用 す る も、 寛 解 と 悪 化 を 繰 り 返 す た め、 漢 方 治 療 を 希 望 し 来 院 。 皮 膚 は 全 体 に 乾 燥 し 所 々 に 掻 破 痕 を 認 め、 四 肢 屈 曲 部 は 苔 癬 化 し 血 痂 が み ら れ る 。 浸 出 液 は み ら れ な い 。 食 欲 は あ る が 胃 腸 が よ わ く、 下 痢 や 腹 痛 が 起 き や す い 。 や せ 型 で 疲 れ や す い 。 脈 は 72 で 細 滑、 尺 脈 は 弱 。 舌 は 淡 紅、 薄 白 苔 と 歯 痕 を 認 め る 。 舌 下 静 脈 の 怒 張 を 認 め る 。 腹 部 で は 両 腹 直 筋 の 攣 急 を 認 め る 。 動 悸 や 小 腹 不 仁 は 認 め な い 。 帰 耆 建 中 湯 の 方 意 で 黄 耆 建 中 湯当 帰 芍 薬 散 を 投 与 。 2 週 間 後、 痒 み が 少 な く な り 調 子 よ い 。 2 ヶ 月 後、 痒 み 消 失 。 皮 膚 も よ く な り、 半 年 で 完 治 。

【 症 例 2 】 30 代 男 性 。 6 年 前 食 品 会 社 に 就 職 。 2 カ 月 し て 両 手 に 赤 い ボ ツ ボ ツ 出 現 。 水 疱 も 現 れ 広 が っ て き た 。 痒 み が 強 く 掻 く と ジ ク ジ ク し、 そ の 後 乾 燥 す る の 繰 り 返 し 。 4 年 前 か ら 皮 膚 科 に 通 院 し、 ス テ ロ イ ド 軟 膏 を 塗 布 す る も 改 善 な く、 2 週 間 前 よ り 悪 化 す る た め 受 診 。 十 代 後 半 か ら う つ 病 の た め、 SSRI と 安 定 剤 を 服 用 中 。 両 手、 特 に 手 掌 の 荒 れ が ひ ど く、 小 水 疱 も 多 数 見 ら れ る 。 痒 み が ひ ど く 掻 き む し る 。 顔 貌 無 欲 状 。 お 腹 が 弱 く 下 痢 し や す い 。 疲 れ や す く 寒 が り 。 脈 は 64 で 滑 有 力 。 舌 は 淡 紅、 白 滑 苔 に 被 わ れ る 。 歯 根 あ り 。 腹 診 で 左 右 腹 直 筋 の 緊 張 が 強 く、 臍 上 に 動 悸 を 軽 く 触 知 し、 正 中 芯 も 認 め る 。 黄 耆 建 中 湯 を 投 与 す る 。 2 週 後、 か な り 改 善 。 4 週 後、 手 が ツ ル ツ ル し 痒 み が 消 失 し た 。

【 症 例 3 】 50 代 男 性 。 小 学 校 の 頃 か ら の ア ト ピ ー 。 中 学 に な る と 安 定 し て い た が、 数 年 前 か ら 痒 み が あ ち こ ち に 出 現 。 特 に 冬 場 に ひ ど い 。 顔 を 含 む 全 身 が 褐 色 調 を 呈 し 苔 癬 化 し て い る 。 全 身 に ス テ ロ イ ド や 保 湿 剤 を 塗 布 し、 抗 ヒ ス タ ミ ン 剤 も 服 用 し て い る 。 30 代 に 虫 垂 炎 か ら の 腹 膜 炎 で 手 術 し た 。 脈 は 70 で 滑 。 舌 は 偏 紅 で 薄 白 苔 に 被 わ れ る 。 舌 下 静 脈 の 怒 張 が 目 立 つ 。 腹 部 は や や 軟 。 右 下 腹 部 に 手 術 瘡、 左 臍 傍 に 動 悸 あ り 。 下 腹 部 全 体 が 緊 張 し、 小 腹 に 冷 え を 感 じ る 。 食 欲 は あ る が、 こ こ 数 日 は 夜 中 に 下 腹 部 痛 が 出 現 し、 お 腹 が 張 り ゴ ロ ゴ ロ す る 。 荊 芥 連 翹 湯大 建 中 湯 を 投 与 。 2 週 間 後 、痒 み は 顔 に 多 少 あ る が、 四 肢 と 躯 幹 で は 消 失 。 腹 痛 も 腹 張 も な く な り 調 子が 良 く な っ た 。

【 解 説 】 症 例 1、 2 で は 下 痢 や 腹 痛 が み ら れ、 左 右 の 腹 直 筋 が 棒 の よ う に 緊 張 し て い た 。 典 型 的 な 「 小 建 中 湯 」 の 証 な の で あ る が、 皮 膚 疾 患 で は 黄 耆 を 加 え た 黄 耆 建 中 湯 を 選 択 す る 場 合 が 多 い 。 腹 部 症 状 が な い な ら 桂 枝 加 黄 耆 湯 で 宜 し い 。 炎 症 は 治 ま っ て き て い る の だ が、 皮 膚 の 再 生 力 が 乏 し い よ う な 場 合 に 適 応 す る 。 症 例 1 の 場 合 は 女 性 で あ り、 月 事 に よ る 陰 血 不 足 を 考 慮 し て、 当 帰 も 加 え た 「 帰 耆 建 中 湯 」 の 意 で 当 帰 芍 薬 散 も 投 与 し た 。 症 例 3 で は 腹 部 に 『 金 匱 要 略 』 大 建 中 湯 証 に い う “ 腹 中 寒 ” を 認 め た 。 皮 膚 炎 も 冬 に 悪 化 す る と い う こ と で 「 大 建 中 湯 」 を 投 与 し た 。 ま た 肌 が 褐 色 調 を 呈 し、 神 経 質 な 解 毒 症 体 質 で あ る た め 「 荊 芥 連 翹 湯 」 を 併 用 し た 。 二 剤 の 併 用 で 著 効 が 得 ら れ た 。

ア ト ピ ー と い う と、 当 時 3 時 間 も か け て 診 察 に 訪 れ た、 幼 い 女 の 子 の こ と を 思 い 出 す 。 そ の 少 女 が 開 口 一 番、 懇 願 す る よ う に し て 発 し た 言 葉 が、 タ イ ト ル に あ る 「 先 生! お 願 い だ か ら か ゆ い の 治 し て く だ さ い 」 で あ る 。 今 で も そ の 光 景 が 鮮 明 に 目 に 浮 か ぶ 。


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テーマ:漢方・東洋医学 - ジャンル:ヘルス・ダイエット

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