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温 経 湯 と 胃 風 湯 「 潰 瘍 性 大 腸 炎 」 2 題


永観堂[禅林寺]金戒光明寺






【 症 例 1 】 20 代 男 性 。 4 年 前 に 潰 瘍 性 大 腸 炎 と 診 断 さ れ た 。 メ サ ラ ジ ン と 整 腸 剤、 症 状 悪 化 時 の ス テ ロ イ ド 注 腸 剤 で 治 療 を 続 け る も、 コ ン ト ロ ー ル 不 良 の た め 受 診 。 や や 痩 せ 型 で 顔 が 白 っ ぽ く、 淡 色 調 の ニ キ ビ が み ら れ る 。 脈 72 滑、 尺 脈 弱 。 舌 は 暗 紅 で や や 紫 色 調 。 薄 白 苔 に 被 わ れ る が 前 部 は 少 苔 。 舌 下 静 脈 の 怒 張 な し 。 腹 診 で 心 下 痞、 右 季 肋 部 に 腹 壁 の 緊 張 と 臍 下 に 正 中 芯 を 認 め る 。 腹 力 は 中 等 度 。 食 欲 正 常 。 口 唇 が 乾 燥 し や す く 多 少 荒 れ て い る 。 便 は 3 ∼ 4 回 / 日 。 有 形 便 は 0 ∼ 1 回、残 り は ガ ス と 粘 液 便 で 不 快 で あ る 。 便 に と き ど き 血 液 付 着 が み ら れ る 。 腹 痛 は な い が、 腹 が 張 っ て ゴ ロ ゴ ロ な る 。

両 手 に 肌 荒 れ が 目 立 ち、 ガ サ ガ サ ・ ゴ ボ ゴ ボ し て い る が、 痒 み は な い 。 以 前 は 手 背 だ け で あ っ た が、 最 近 は 手 掌 も 荒 れ る よ う に な っ て き た 。 手 掌 に 熱 感 を 感 じ る が、 足 は 冷 え る 。 潰 瘍 性 大 腸 炎 が 発 症 す る 1 ∼ 2 年 前 に、 両 側 の 下 腿 に 出 血 斑 が 出 現 し、 う っ 血 性 紫 斑 と 診 断 さ れ た こ と が あ る 。 温 経 湯 5 g /日 2 分 と 桂 枝 加 芍 薬 湯 5 g /日 2 分 を 投 与 。 4 週 間 後 、ガ ス と 粘 液 便 が な く な り、 便 は 有 形 と な っ て き た 。 血 便 も な か っ た 。 腹 張 と ゴ ロ ゴ ロ も ほ と ん ど な く な っ た 。 食 欲 も 変 わ り な い 。 本 人 も お ど ろ く ほ ど に 手 の 荒 れ が 改 善 し、 ツ ル ツ ル し て い る 。 ニ キ ビ は 同 様 。 症 状 が 改 善 し て き た の で 前 方 を 継 続 。

本 例 で み ら れ た “ 手 の 荒 れ ” “ 手 掌 の ほ て り ” “ 口 唇 の 乾 燥 ” は 温 経 湯 の 証 と し て あ ま り に も 有 名 。 さ ら に 『 金 匱 要 略 』 の 温 経 湯 の 条 文 に は 「 婦 人 年 五 十 所, 病 下 利 数 十 日 不 止, 暮 即 発 熱, 少 腹 裏 急, 腹 満 , ・ ・ ・ ・ ・ 」 と あ る 。 下 痢 が 何 日 も 治 ら ず、 下 腹 部 が 痛 み、 腹 も 張 っ て い る、 等 の 症 状 に は 温 経 湯 を 投 与 す べ し、 と 指 示 が あ る 。 本 例 は 女 性 で は な い が こ れ に 従 っ た 。 腹 張 や 腹 鳴 が 著 し い た め 桂 枝 加 芍 薬 湯 も 使 用 し た 。 し か し、 桂 枝 加 芍 薬 湯 の 構 成 生 薬 は、 大 棗 を 除 け ば 温 経 湯 に 含 ま れ て い る 。 温 経 湯 は 桂 枝 加 芍 薬 湯 に、 半 夏 ・ 麦 門 冬 ・ 当 帰 ・ 川 芎 ・ 牡 丹 皮 ・ 阿 膠 ・ 呉 茱 萸 ・ 人 参 を 加 え た 構 成 だ 。 桂 枝 加 芍 薬 湯 は 不 要 で あ っ た と 思 わ れ る 。

【 症 例 2 】 中 年 女 性 。 20 歳 頃 か ら 便 秘 の た め い ろ い ろ 下 剤 を 使 用 し て い た 。 5 年 前、 仕 事 の ス ト レ ス が 続 い て い た と こ ろ、 ど す 黒 い 血 便 が 出 現 。 大 腸 フ ァ イ バ ー で 全 大 腸 型 の 潰 瘍 性 大 腸 炎 と 診 断 さ れ た 。 ス テ ロ イ ド 60 ㎎ の 投 与 を 受 け る も 改 善 な い た め、 ス テ ロ イ ド パ ル ス 療 法 を 開 始 し、 寛 解 状 態 が 得 ら れ、 ス テ ロ イ ド か ら 離 脱 で き た 。 し か し 4 月 後 に は 再 燃 し、 ス テ ロ イ ド を 再 開 。 免 疫 抑 制 剤 に レ ミ ケ ー ド さ ら に ヒ ュ ミ ラ も 導 入 し た が、 効 果 は 認 め ら れ な か っ た 。 ス テ ロ イ ド か ら 離 脱 で き な い 状 態 の た め、 外 科 的 治 療 を 提 示 さ れ る も、 本 人 拒 否 し 漢 方 治 療 を 希 望 。 紹 介 状 を 持 参 し 受 診 。

現 在 の 処 方 は、 ア サ コ ー ル 3600 mg、 プ レ ド ニ ン 5 mg、 リ ン デ ロ ン 坐 剤 1 mg 。 顔 貌 は 浮 腫 状 で 萎 黄 。 食 欲 は 良 好 。 口 は 乾 く が 喜 暖 。 便 は 1 日 1 回 で、 有 形 か ら 軟 。 立 ち 仕 事 を し て い る と、 腹 圧 で ガ ス が プ チ プ チ と 出 る が、 便 の 漏 れ は な い 。 冷 え 性 で、 一 晩 中 電 気 ア ン カ を 使 用 し て い る 。 脈 は 60、 沈 細 弱 。 舌 は 暗 紅 色 で、 白 厚 苔 満 布 だ が、 後 部 に 剥 苔 を 2 ケ 認 め る 。 腹 部 は 腹 力 3/5 で、 心 下 痞 を 認 め る 。 桂 枝 人 参 湯 + 当 帰 芍 薬 散 を 投 与 。 2 週 間 後、 便 の 量 が 微 妙 に 少 な く な っ た 。 立 位 で プ チ プ チ 出 て い た ガ ス が 減 っ た 。 冷 え が 改 善 し 床 を 素 足 で 歩 け る よ う に な っ た 。 4 週 間 後、 便 が 有 形 と な る 。 プ レ ド ニ ン が 1 錠 か ら 半 錠 に 減 っ た 。

潰 瘍 性 大 腸 炎 の 虚 証 に 用 い ら れ る 方 剤 に 胃 風 湯 が あ る 。 構 成 生 薬 は、 当 帰 ・ 芍 薬 ・ 川 芎 ・ 人 参 ・ 白 朮 ・ 茯 苓 ・ 桂 枝 ・ 粟 で あ る 。 本 例 で 処 方 し た 当 帰 芍 薬 散 の 構 成 生 薬 は 当 帰 ・ 芍 薬 ・ 川 芎 ・ 白 朮 ・ 茯 苓 ・ 沢 瀉 で、 桂 枝 人 参 湯 は 桂 枝 ・ 人 参 ・ 白 朮 ・ 乾 姜 ・ 甘 草 。 当 帰 芍 薬 散 + 桂 枝 人 参 湯 と 胃 風 湯 の 構 成 生 薬 は か な り 似 て い る 。 沢 瀉 ・ 乾 姜 ・ 甘 草 は 余 計 だ が、 不 足 は 粟( あ わ ) だ け で あ る 。 こ の 粟 の 薬 効 を 検 索 し た と こ ろ、 フ ェ ル ラ 酸( γ-オ リ ザ ノ ー ル )が 潰 瘍 性 大 腸 炎 に 有 効 と の 論 文 が ヒ ッ ト し た 。 そ こ で 本 例 で は 途 中 か ら 米 糠 を 併 用 し た と こ ろ、 さ ら な る 改 善 が 得 ら れ た  フ ェ ル ラ 酸 は 粟 や 米 糠 に 大 量 に 含 ま れ る

温 経 湯 の 構 成 生 薬 は、 麦 門 冬、 半 夏、 当 帰、 芍 薬、 川 芎、 桂 皮、 牡 丹 皮、 阿 膠、 人 参、 呉 茱 萸、 生 姜、 甘 草 で あ る 。 胃 風 湯 の 構 成 生 薬 は、 当 帰、 芍 薬、 川 芎、 朮、 茯 苓、 桂 皮、 人 参、 粟 で あ る 。 温 経 湯 と 胃 風 湯 に は 類 似 性 が 認 め ら れ る 。 温 経 湯 証 の 主 証 は 陰 血 不 足 で あ る が、 そ の た め 血 行 障 害 が み ら れ、 上 焦 に 鬱 熱 を 認 め る 。 胃 風 湯 証 は 気 血 両 虚 が 主 体 で あ る た め 虚 寒 を 呈 す る 。 潰 瘍 性 大 腸 炎 は ス ト レ ス 社 会 の た め か 増 加 し て い る と い う 。 本 例 の よ う に 現 代 医 学 に 抵 抗 す る 場 合 も あ る 。 漢 方 の 責 任 大 で あ る 。


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テーマ:漢方・東洋医学 - ジャンル:ヘルス・ダイエット

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