難 治 性 疼 痛 に は 「 疎 経 活 血 湯 」

every Tom Dick and Harryclever な “茶利子”、「般若心経」の “舎利子” より命名





“茶利子” の 三代目が “恩子”






著 者 は 6 年 前 、 疎 経 活 血 湯 が 著 効 し た 10 症 例 を 報 告 し た 。 そ し て 本 剤 の 適 用 病 態 に つ い て 考 察 し た 。 そ こ で 加 筆 し 要 約 を 述 べ た い 。

提 示 し た 症 例 の 疼 痛 は 、 重 苦 し く 感 じ る 痛 み が 主 体 で あ っ た が 、 症 例 3 ,6 で は 電 撃 様 の 疼 痛 も み ら れ た 。 疼 痛 部位 は 6 例 で 腰 か ら 下 肢 に か け て み ら れ 、 1 例 で は 肩 関 節 に 認 め ら れ た 。 年 齢 は 60 歳 以 上 、 平 均 す る と 71 歳 と 高 齢 で あ っ た 。 疎 経 活 血 湯 の 治 療 効 果 は 、治 療 開 始 後 早 期 に 現 わ れ 、症 例 3 ,6 の よ う に 数 年 間 も 治 ら な い 疼 痛 に も 奏 効 し た 。 副 作 用 は 認 め ら れ な か っ た 。 副 次 的 効 果 と し て 体 調 の 改 善 が み ら れ 、 症 例 4 ,5 ,7 で は 疼 痛 消 失 後 も 服 用 を 希 望 し た 。
症 例 4 で は 自 律 神 経 症 状 の 改 善 、 症 例 5 で は 足 の 冷 え と 手 の 痒 み の 消 失 、 症 例 7 で も 足 の 冷 え の 消 失 が 認 め ら れ た 。

疎 経 活 血 湯 の 出 典 は 『 万 病 回 春 』 で 、 そ こ に は 「 遍 身 走 痛 、 日 軽 夜 重 者 、 是 血 虚 也 。 疎 経 活 血 湯 治 遍 身 走 痛 如 刺 、 左 足 痛 尤 甚 。 左 属 血 、 多 因 酒 色 損 傷 、 筋 脈 虚 空 、 被 風 寒 湿 熱 于 内 、 熱 包 于 寒 、 則 痛 傷 絡 、 是 以 昼 軽 夜 重 。 宣 以 疏 経 活 血 行 湿 。 此 非 白 虎 歴 節 風 也 」 と 記 載 さ れ て い る 。 こ れ に よ る と 、 疎 経 活 血 湯 は 「 血 虚 」 に よ る 疼 痛 を 治 す 方 剤 と な る 。 原 因 の 多 く は 、 酒 色 に 耽 り 筋 脈 が 枯 渇 し た と こ ろ に 、 風 寒 湿 熱 の 邪 が 侵 入 し 筋 の 経 絡 を 傷 る こ と に 起 因 す る 。

『 万 病 回 春 』 が 述 べ る 「 血 虚 」 と は 、 疎 経 活 血 湯 の 構 成 薬 を み る と 、 「 陰 血 不 足 」 を 意 味 す る 。 酒 色 に 溺 れ る と 、 食 生 活 や 性 生 活 が 不 摂 生 と な る た め 、 栄 養 不 足 や 血 肉 の 消 耗 が 現 わ れ 、 陰 血 が 不 足 す る 。 こ の た め か、 疎 経 活 血 湯 は 酒 家 や 飲 酒 後 に 悪 化 す る 疼 痛 に 用 い る も の と 一 部 で は 説 明 さ れ る 。 『 傷 寒 論 』 第 17 条 に 「 若 酒 客 病 、 不 可 與 桂 枝 湯 、 得 之 則 嘔 、 以 酒 客 不 喜 甘 故 也 」 と あ る よ う に 、 酒 客 は 「 湿 熱 」 を 有 し て い る 場 合 が 多 い 。 疎 経 活 血 湯 に は 地 黄 と 当 帰 が 含 ま れ る た め 、 湿 熱 に よ る 病 変 に は 適 さ な い 。 湿 熱 も 長 期 に お よ べ ば 陰 を 傷 る が 、 食 生 活 が 整 っ た 今 日 で は 酒 家 に よ る 傷 陰 は 少 な い 。 飲 酒 が 疼 痛 を 悪 化 さ せ る の は 、 疼 痛 一 般 に あ て は ま る 現 象 で あ る 。 原 典 に あ る 飲 酒 と の 関 連 を 強 調 す る あ ま り 、疎 経 活 血 湯 の ポ テ ン シ ャ ル を 限 定 し て は な ら な い。本 例 で は 全 例 に 飲 酒 歴 は な い 。

疎 経 活 血 湯 は 陰 血 を 補 い 鎮 痛 す る 方 剤 で あ る 。 血 脈 が 充 足 す れ ば 、 河 川 が 田 畑 を 肥 沃 に し 豊 か な 実 り が 得 ら れ る に よ う に 、 筋 骨 は 充 実 し 円 滑 な 動 き を 行 う こ と が で き る た め 疼 痛 な ど は 生 じ な い 。 そ の た め に 疎 経 活 血 湯 に は 地 黄 ・ 当 帰 ・ 芍 薬 ・ 川 芎 ・ 桃 仁 ・ 牛 膝 ・ 朮 ・ 茯 苓 ・ 陳 皮 が 含 ま れ る 。 地 黄 ・ 当 帰 ・ 芍 薬 で 陰 血 を 補 い 、 川 芎 ・ 桃 仁 ・ 牛 膝 で 活 血 化 瘀 し 、 朮 ・ 茯 苓 ・ 陳 皮 で 陰 血 を 消 化 吸 収 す る 。

通 則 不 痛 で 血 行 が 充 足 す れ ば 疼 痛 は 自 然 に 消 失 す る 。 本 剤 に 含 ま れ る 袪 風 湿 薬 ( 防 風 ・ 防 已 ・ 白 芷 ・ 羗 活 ・ 威 霊 仙 ) は 血 行 障 害 に よ っ て 生 じ た 痰 飲 を 除 き 鎮 痛 す る 働 き が あ る が 末 節 で あ る 。 血 行 れ ば 、 風 自 ず か ら 滅 す と 云 わ れ る よ う に 、 血 行 が 回 復 し 陰 血 が 充 足 す れ ば 筋 肉 や 関 節 や 神 経 の 疼 痛 は 自 然 に 消 滅 す る 。

「 金 匱 要 略 浅 述 」 の ( 水 気 病 脈 証 幷 治 第 十 四 ) の 22 に 「 問 曰 : 病 有 血 分 水 分 、 何 也 ? 師 曰 : 経 水 前 断 、後 病 水 、 名 曰 血 分 、 此 病 難 治 ; 先 病 水 、 後 経 水 断 、 名 曰 水 分 、 此 病 易 治 ; 何 以 故 ? 去 水 、 其 経 自 下 」 と あ る ( こ の 条 文 は 一 般 本 に は 掲 載 さ れ て い な い ? ) 。 血 分 病 ( 血 流 障 害 に よ る 浮 腫 ) は 治 り 難 く 、 水 分 病 ( 水 気 病 ) は 治 療 が 易 し い 、 と 述 べ て い る 。 疎 経 活 血 湯血 分 病 を 治 す 方 剤 と な る 。 風 湿 の 邪 は 陰 血 不 足 の 結 果 で あ り 、 袪 風 湿 薬 は 脇 役 に す ぎ な い 。


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テーマ:漢方・東洋医学 - ジャンル:ヘルス・ダイエット

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