「 線 維 筋 痛 症 」 の 原 因 と 治 療 法



南禅寺にて






著 者 は 2011 年 2 月 に 『 漢 方 の 臨 床 』 に 線 維 筋 痛 症 の 発 症 機 序 と 治 療 法 に 関 す る 論 文 を 掲 載 し た 。 そ の 反 響 は 大 き く 、 発 症 原 因 と し て 筋 の 虚 血 が 重 要 視 さ れ て き て い る よ う に 感 じ る 。 し か し 現 代 医 学 的 治 療 で は 患 者 が 受 け る 恩 恵 は 少 な い 。 そ こ で 多 く の 悩 め る 人 び と の た め 、 拙 著 の 核 心 部 分 を 開 示 し て 治 療 の 一 助 と し た い 。


線 維 筋 痛 症 (FM) の 正 確 な 発 症 機 序 は 不 明 で あ る が 、 多 数 の エ ビ デ ン ス が 集 積 さ れ て き て い る 。 本 症 で は 筋 の 傷 害 に 由 来 す る 発 痛 物 質 が 、 末 梢 神 経 ( 侵 害 受 容 器 ) を 持 続 的 に 刺 激 す る た め 、 侵 害 受 容 器 の 疼 痛 刺 激 に 対 す る 感 受 性 が 亢 進 し 、 疼 痛 刺 激 が 慢 性 的 に 中 枢 神 経 に 伝 え ら れ る よ う に な る 。 こ の た め 中 枢 神 経 細 胞 の 可 塑 的 変 化 や 知 覚 細 胞 の 疼 痛 域 値 の 低 下 が 生 じ 、 局 所 的 な 微 小 な 刺 激 に 対 し て も 大 脳 皮 質 感 覚 野 が 広 範 囲 に 反 応 す る よ う に な り 、 全 身 性 の 慢 性 疼 痛 が 発 症 す る 。

FM で は 自 律 神 経 系 の 異 常 に よ り 筋 の 血 流 障 害 が 生 じ る 。 交 感 神 経 の 働 き が 日 常 的 に 優 位 に な る と 、 筋 の 緊 張 ( 収 縮 ) が 持 続 し 血 管 に 外 圧 が 働 く た め 、 血 流 が 圧 迫 阻 害 さ れ た 状 態 が 続 く 。 そ の た め 筋 の 虚 血 性 傷 害 が 生 じ 、 間 接 的 に は 筋 ミ ト コ ン ド リ ア の ATP 産 生 障 害 を 介 し た 傷 害 が 生 じ る 。 FM の 治 療 に 高 圧 酸 素 療 法 や D-リ ボ ー ス が 有 効 と さ れ 、 筋 の 傷 害 が 虚 血 に 起 因 す る こ と を 裏 づ け る 。 FM で は 運 動 ス ト レ ス 負 荷 で 筋 の 易 傷 害 性 も 認 め ら れ る 。 筋 に 傷 害 が 生 じ る と 炎 症 メ デ ィ エ ー タ ー が 放 出 さ れ 、 ポ リ モ ー ダ ル 受 容 器 を 刺 激 し て 疼 痛 発 症 の 引 き 金 と な る 。

FM に は 多 彩 な 精 神 神 経 症 状 が 出 現 す る 。 本 例 に も 自 律 神 経 の 失 調 症 状 が 認 め ら れ た 。 こ れ ら の 症 状 は 交 感 神 経 系 の 異 常 な 興 奮 に よ る だ け で な く 、 疼 痛 刺 激 の 持 続 ( 慢 性 痛 ) や 筋 の 傷 害 ( 炎 症 ) に よ っ て も も た ら さ れ る 。

痛 み は 不 安 や 嫌 悪 や 恐 怖 な ど の 不 快 情 動 を 引 き 起 こ す 。 疼 痛 刺 激 が 大 脳 辺 縁 系 の 扁 桃 体 お よ び そ の 関 連 領 域 で あ る 前 帯 状 回 や 分 界 条 床 核 の 活 動 を 亢 進 さ せ る た め に 生 じ る 。 扁 桃 体 は 情 動 記 憶 形 成 の 中 枢 で あ る た め 、 慢 性 痛 は 気 分 障 害 や 不 安 障 害 や パ ニ ッ ク 障 害 な ど の 原 因 と な り 得 る 。

一 方 、 炎 症 メ デ ィ エ ー タ ー で あ る サ イ ト カ イ ン の IL-1 , IL-6 や IFNα は 、 後 シ ナ プ ス の 5-HT1A 受 容 体 の 数 を 減 少 さ せ る だ け で な く 、 視 床 下 部 ― 下 垂 体 ― 副 腎 ( HPA ) 系 の 受 容 体 に 結 合 し 機 能 を 亢 進 さ せ 、 高 コ ル チ ゾ ー ル 血 症 を 引 き 起 こ す 。 高 コ ル チ ゾ ー ル 血 症 は 海 馬 の 神 経 細 胞 を 傷 害 し 、 扁 桃 体 の 情 動 活 動 を 活 発 に す る た め 、 う つ 病 の 原 因 と な る 。

本 症 の 発 症 メ カ ニ ズ ム を 総 括 す る と 、 日 常 的 な 交 感 神 経 系 の 緊 張 が 、筋 の 緊 張 ・ 収 縮 を 持 続 さ せ 、 筋 の 循 環 障 害 を 引 き 起 こ し 、 FM 特 有 の 筋 の 脆 弱 性 と 相 ま っ て 傷 害 ( 炎 症 ) を 生 じ さ せ 、 産 生 さ れ た 炎 症 メ デ ィ エ ー タ ー が 神 経 だ け で な く 、 免 疫 系 や 内 分 泌 系 に も 作 用 し て 、 慢 性 痛 や 多 彩 な 症 状 を 発 現 さ せ る も の と 思 わ れ る 。

中 医 学 で は 「 肝 は 疏 泄 を 主 る」 と 云 わ れ 、 交 感 神 経 の 緊 張 は 肝 の 疏 泄 不 利 ( 肝 気鬱 結 ) と 同 義 と 考 え ら れ る 。 一 方 、 筋 が 正 常 の 機 能 を 維 持 す る た め に は 、 「 肝 は 筋 を 主る 」 「 肝 は 血 を 蔵 す 」 と 云 わ れ る よ う に 、 肝 の 疏 泄 と 蔵 血 作 用 が 協 力 し 、 筋 の 血 行 を 通 暢 さ せ る こ と が 必 要 と な る 。      【 論 文 の 前 後 お よ び 文 献 は 省 略 】

著 者 が 提 唱 す る 理 論 に 則 り 漢 方 治 療 を 行 え ば 著 効 が 得 ら れ る 。



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テーマ:漢方・東洋医学 - ジャンル:ヘルス・ダイエット

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