苓 桂 甘 棗 湯 と 甘 麦 大 棗 湯


IMG_014012





冬の束稲山毛越寺(平泉)2 







奔 豚 気 病 に 対 す る 処 方 に 苓 桂 甘 棗 湯 が あ る 。 急 性 の ス ト レ ス ( シ ョ ッ ク ) な ど に よ り 臍 下 よ り 気 が 上 衝 し、 心 を 衝 い た た め 発 症 す る パ ニッ ク 様 の 症 状 に 用 い ら れ る 。 苓 桂 甘 棗 湯 は エ キ ス 製 剤 に な い た め、 苓 桂 朮 甘 湯 + 桂 枝 加 竜 骨 牡 湯 乃 至 苓 桂 朮 甘 湯 + 甘 麦 大 棗 湯 の 形 で 合 方 と し て 用 い ら れ る 。 頻 用 処 方 で あ る 。

苓 桂 朮 甘 湯 + 桂 枝 加 竜 骨 牡 蠣 湯 は 、 生 薬 構 成 か ら 苓 桂 甘 棗 湯 に 鎮 心 安 神 ・ 潜 陽 作 用 の あ る 竜 骨 と 牡 蠣 を 加 え た 形 と な り、 苓 桂 甘 棗 湯 の 作 用 を 強 化 し た 内 容 に な る も の と 思 われ る 。 し か し 苓 桂 朮 甘 湯 + 甘 麦 大 棗 湯 の 場 合 も、 そ の よ う に 考 え て 宜 し い の だ ろ う か? 桂 枝 加 骨 牡 蠣 湯 は、 桂 皮 で 正 気 を 昇 ら せ 邪 気 を 降 ろ し 、 鎮 心 安 神 を 図 り 、 苓 桂 甘 棗 湯 の 薬 能 を 強 す る 。 一 方、 甘 麦 大 棗 湯 は 小 麦大 棗 で 心 陰 を 補 い、養 心 安 神 を 発 揮 す る 。

苓 桂 甘 棗 湯 は 気 の 上 衝 で あ る 奔 豚 気 に 用 い、 甘 麦 大 棗 湯 は 神 不 守 舎 に 用 い る 。 神 殿 が 荒 廃 し 神 が 神 殿 に 鎮 座 で き な い と、 民 の 情 志 は 大 い に 乱 れ る こ と に な る 。 『 金 匱 要 略 』 に 云 う、 大 声 を 上 げ て 泣 き 悲 し み 、 と き に は 神 が か っ た 行 動 が 出 現 す る 。 苓 桂 朮 甘 湯 + 甘 麦 大 棗 湯 は 、 苓 桂 甘 棗 湯 の 方 意 と は 異 な る 。

30 代 女 性 。 職 場 の 厳 し い 環 境 で 不 安 や 悲 愴 感 に 苛 ま れ、 胸 悶 し 呼 吸 が 苦 し く な る 。 と き ど き涙 が 出 て 止 ま ら な い 。 眠 れ な い 。 脈 は 80 で 細 滑 偏 弦 。 舌 は 淡 紅 で 薄 白 苔 に 被 わ れ る 。 舌 下 静 脈の 怒 張 は な い 。 腹 壁 が 薄 く 全 体 に 緊 張 し て い る 。 瘀 血 の 圧 痛 点 は み ら れ な い 。 動 悸 も 触 れ な い 心 下 を 圧 迫 す る と 痞 え を 感 じ る 。

甘 麦 大 棗 湯 を 投 与 。 し ば ら く し て 来 院 。 甘 麦 大 棗 湯 を 服 用 し て す ぐ に 気 分 が ス ー ッ と 楽 に な り、 数 日 で 症 状 が 消 失 、が 、ス ト レ ス が 強 ま り、 薬 も な く な っ た た め、 症 状 が 再 発 し 以 前 よ り も 苦 し い 。 嗚 咽 が 漏 れ る 。 熱 く は な い が 全 身 に じ っ と り 汗 が み ら れ る 。 脈 も 数 と な っ て い る 。 水 気 上 逆 の 併 発 と 思 わ れ、苓 桂 朮 甘 湯 を 加 味 。 数 日 で 症 状 が 消 失 。 辛 く て も 、心 に ゆ と り を 保 て る よ う に な っ た 。

本 例 は 生 来 の 心 陰 不 足 の と こ ろ に、 ス ト レ ス に よ り 脾 虚 が 生 じ 、 水 飲 が 産 生 さ れ 上 逆 し た 。 甘 麦大 棗 湯 で 心 陰 を 補 い、 苓 桂 朮 甘 湯 の 桂 皮 で 昇 清 降 濁 、 茯 苓 ・ 朮 で 水 飲 を 捌 き、 症 状 が 改 善 し た 。



にほんブログ村 

テーマ:漢方・東洋医学 - ジャンル:ヘルス・ダイエット

加 味 帰 脾 湯 , 2 題



レインボーブリッジ(東京タワーより)新宿副都心(赤坂エクセル東急より)






30 代 女 性 。 半 年 前 に 第 1 子 出 産 後 よ り 体 調 が す ぐ れ な い 。 疲 れ や す く 、 気 力 が 低 下 し て い る 。 階 段 や 急 い で 歩 い た り す る と 息 切 れ し や す く な っ た 。 食 欲 は あ る が 下 痢 を し や す い 。 寝 つ き が よ く な く 眠 り が 浅 い 。 寝 汗 を か く こ と が 多 い 。 手 足 が 冷 え て の ぼ せ る 。 イ ラ イ ラ し た り 落 ち 込 み や す い 。 産 婦 人 科 に 相 談 して も 産 後 だ か ら い ず れ 治 る 、と 言 わ れ る だ け で 改 善 し な い た め 、 漢 方 治 療 を 希 望 し 来 院 。

血 圧 正 常 。 脈 は 88 で 滑 細 。 舌 は 暗 紅 で 薄 苔 に 被 わ れ る 。舌 下 静 脈 が 軽 度 怒 張 。 お 腹 は 軽 度 心 下 痞 鞭 を 認 め る 。 腹 直 筋 も 軽 度 緊 張 。 小 腹 不 仁 は 認 め な い 。 臍 上 悸 を 触 れ る 。 神 経 質 そ う で 、 や や 痩 せ 型 の 体 型 で あ る 。 産 後 の 心 血 不 足 と 考 え 、 加 味 帰 脾 湯 を 投 与 す 。

2 週 間 後 、体 調 が よ く な っ て き た 。 あ ま り 疲 れ な く な り 気 力 が で て き た 。 で も 気 分 に む ら が あ り 、 か な り 落 ち 込 む こ と が あ る 。 目 が 冴 え て 寝 つ け な い こ と も あ る 。 前 方 に 心 陰 を 補 う 意 味 で 甘 麦 大 棗 湯 を 追 加 投 与 す 。 気 力 も 気 分 も 安 定 し 、 ス ッ キ リ し た 。 寝 つ き も よ い 。

本 例 は 妊 娠 ・ 出 産 と い う 労 働 で 心 の 陰 血 が 損 耗 し た 。 心 陰 が 不 足 す る と 心 陽 ( 神 ) の 安 寧 が 破 ら れ 、 動 悸 ・ 息 切 れ ・ 不 安 ・ 不 眠 な ど が 出 現 す る 。 加 味 帰 脾 湯 は 心 血 を 補 い 、 脾 胃 の 働 き を よ く す る 。 胃 腸 の 働 き が よ く な れ ば 、 心 血 の 素 ( 原 料 ) が 吸 収 ・ 補 給 さ れ る 。

本 例 は 加 味 帰 脾 湯 で あ る 程 度 の 改 善 が 得 ら れ た が 、 気 分 の 不 安 定 さ や 睡 眠 障 害 の 改 善 が い ま い ち で あ っ た 。 そ こ で 心 陰 の 補 給 を 強 化 す る た め 甘 麦 大 棗 湯 を 合 わ せ て 投 与 し た 。甘 麦 大 棗 湯 に は 精 神 を 安 定 に す る 働 き が あ る 。 主 に 小 麦 の 胚 芽 に よ る 作 用 だ 。 心 陰 が 不 足 す る と 神 が 居 所 を 失 う ( 神 不 守 舎 ) 。 神 が 不 安 定 に な れ ば 動 悸 や 不 眠 や 不 安 や 健 忘 な ど が 生 じ る 。 加 味 帰 脾 湯 が 有 効 。



にほんブログ村

テーマ:漢方・東洋医学 - ジャンル:ヘルス・ダイエット

最新記事
最新トラックバック
カテゴリ
QRコード
QRコード