「 狭 心 症 」 ( 胸 痺 ) の 漢 方 治 療



岩手山 と 北上夜曲 の 北上川(盛岡市)八幡平からの岩手山(岩手山の裏)






黄 連 阿 膠 湯 の 構 成 生 薬 に は 卵 ( 鶏 子 黄 ) が 含 ま れ て い る 。 卵 は 今 と は 違 い、 子 供 の 頃 は 貴 重 な 食 べ 物 で、 病 気 見 舞 い に も 使 わ れ た ほ ど だ 。 当 時 カ ゼ に は そ の 貴 重 な 卵 を 使 っ た、 “ 卵 酒 ” な る も の が あ っ た ( 今 で も あ る? ) 。 酒 の 中 に 卵 を 落 と し 沸 騰 さ せ ア ル コ ー ル を 飛 ば し た も の で、 酒 好 き の 父 に な ん ど か 飲 ま さ れ た 。 効 果 の 程 は 失 念 し た 。 『 肘 後 備 急 方 』 ( 東 晋 ) の 「 治 傷 寒 及 時 気 温 病 得 一 日 方 」 の な か に 、 “ 鶏 子, 取 汗 ” と い う 解 説 が あ る 。 岡 田 研 吉 氏 は 『 宋 以 前 傷 寒 論 考 』 の な か で 、 「 卵 酒 は 日 本 帝 国 海 軍 常 用 処 方 集 に も 採 用 さ れ た、 “ カ ゼ 薬 ” で あ る 。 鶏 子 ( 卵 ) は 栄 養 を つ け、 気 血 を め ぐ ら せ る こ と に よ り 風 邪 を 治 す 」 と 述 べ て い る 。 父 は 戦 中 海 軍 軍 人 で あ っ た 。

ネ ギ の 茎 の 白 い 部 分 に あ た る “ 葱 白 ” は、 い ま に 伝 わ る 『 傷 寒 論 』 ( 宋 板 ) 以 前 に は、 辛 温 発 汗 薬 ( 風 邪 薬 ) と し て 用 い ら れ て い た 。 そ れ な ら 風 邪 に は “ ネ ギ 玉 ス ー プ ” ( ネ ギ の 茎 と 生 姜 の 出 し 汁 で 卵 を 溶 く ) な ど は い か が だ ろ う 。 “ 下 痢 ” を と も な う の で あ れ ば、 薤 白 ( ラ ッ キ ョ ウ ) を 加 え る 。 『 傷 寒 論 』 の 「 四 逆 散 」 の 条 (318条) の 傍 注 に、 “ 泄 利 下 重 ” す る 場 合 は 、 薤 白 を 加 え る よ う に と の 指 示 が あ る 。 冷 え 性 で お 困 り の 方 は “ 腎 陽 ” を 補 う ニ ラ を 常 用 し て は い か が 。

葱 白 は “ 白 通 湯 ” ( 葱 白 ・ 乾 姜 ・ 生 附 子 ) の 構 成 生 薬 で あ り 、 『 傷 寒 論 』 314 条 に 「 少 陰 病 , 下 利 , 白 通 湯 主 之 」 と あ る 。 解 表 薬 ( 発 汗 薬 ) と し て で は な く、 裏 寒 ( 少 陰 病 ) に よ る 下 痢 の 治 療 に 用 い ら れ て い る 。 薤 白 は 『 金 匱 要 略 』 「 胸 痹 心 痛 短 気 病 脈 証 并 治 第 九 」 に あ る、 栝 楼 薤 白 白 酒 湯 ( 栝 楼 仁 ・ 薤 白 ・ 白 酒 ) や 栝 楼 薤 白 半 夏 湯 ( 栝 楼 仁 ・ 薤 白 ・ 半 夏 ・ 白 酒 ) や 枳 実 薤 白 桂 枝 湯 ( 枳 実 ・ 薤 白 ・ 厚 朴 ・ 桂 枝 ・ 栝 楼 仁 ) の 構 成 生 薬 で あ る 。 こ れ ら は 痰 濁 ( 邪 ) に よ り、 心 の 陽 気 の 通 行 ( 通 陽 ) が 阻 害 さ れ、 胸 痛 が 発 症 す る 場 合 の 治 療 薬 で あ る 。 し か し、 栝 楼 薤 白 白 酒 湯 と 栝 楼 薤 白 半 夏 湯 に は 白 酒 が 含 ま れ る こ と よ り、 【 鎮 痛 作 用 】 ( 通 陽 作 用 ) が 主 体 と な る 。 枳 実 薤 白 桂 枝 湯 は 胸 部 の 気 滞 を 破 り 上 下 に 流 通 さ せ る こ と に よ り、 胸 悶 ( 痞 え ) を 除 く こ と が 主 体 と な る 。 い ず れ も 重 点 は 通 陽 ( 気 ) に あ る 。

半 夏 厚 朴 湯 も 気 滞 に よ り 胸 ・ 膈 ・ 心 下 に 痰 飲 が 存 在 し、 気 の 昇 降 を 阻 害 す る 胸 痛 や 背 部 痛 や 肩 こ り に 奏 功 す る 。 で も 上 記 の 三 剤 の よ う に 陽 気 の 不 足 は み ら れ な い 。 気 血 が 虚 し た 場 合 の 胸 痛 や 腹 痛 に は 当 帰 湯 が 奏 功 す る 。 当 帰 湯 は 人 参 ・ 黄 耆 の 補 気 剤 と、 大 建 中 湯当 帰 建 中 湯黄 耆 建 中 湯 を 加 え、 そ れ に 化 痰 降 逆 薬 で あ る 半 夏 ・ 厚 朴 を 足 し た よ う な 方 剤 で あ る 。 狭 心 症 に も 効 き そ う だ!

宋 版 傷 寒 論 以 前 に は、 附 子 も 発 汗 解 表 薬 と し て 使 用 さ れ て い た 。 そ れ が 時 代 の 変 遷 と と も に、 マ イ ル ド な 辛 温 発 汗 薬 に リ プ レ イ ス さ れ て き た 。 衣 食 住 が 豊 か に な る と と も に、 胃 に “ 宿 食 ” や “ 痰 飲 ” な ど の 病 理 産 物 が 産 生 ・ 停 滞 さ れ る よ う に な り、 ハ ー ド な 発 汗 は “ 胃 気 ” を 傷 る と の 考 え 方 が 主 流 と な っ た 。 さ す れ ば、 体 力 が 十 分に あ る 場 合 に は、 傷 寒 ( 狭 義 : 寒 邪 ) の 初 期 に お い て は、 麻 黄 附 子 細 辛 湯 が 即 効 す る も の と 思 わ れ る 。 た だ 脱 汗 に は 注 意 が 必 要 だ 。

麻 黄 附 子 細 辛 湯 は 一 般 に は 陽 虚 ( 気 が 乏 し く て 冷 え る ) の 感 冒 に 使 用 す る が 、 ガ ッ チ リ し た 成 人 で も 寒 邪 が 体 表 に 凝 着 し、 衛 気 の 流 通 を 阻 滞 す る 場 合 ( 悪 寒 が 著 明 ) は、 麻 黄 附 子 細 辛 湯 で 強 制 的 に 発 汗 さ せ 寒 邪 を 駆 逐 す る べ き で あ る 。 麻 黄 附 子 細 辛 湯 は 花 粉 症 や 難 治 性 疼 痛 に も 頻 用 さ れ る 。 花 粉 症 で は 頓 服 で 使 用 す る の だ が、 朝 に 鼻 水 や く し ゃ み の 初 期 の 段 階 に 著 効 す る 。 炎 症 の 初 期 反 応 は 血 管 の 拡 張 で あ る 。 麻 黄 に は 著 明 な 血 管 収 縮 作 用 が み ら れ 優 れ た 抗 炎 症 作 用 を 有 す る 。 ま た 強 力 な 鎮 痛 効 果 も 有 し、 附 子 ・ 細 辛 と と も に シ ナ ジ ー を 現 わ す。 花 粉 症 に は 種 々 の 方 剤 が 用 意 さ れ て い る 。


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テーマ:漢方・東洋医学 - ジャンル:ヘルス・ダイエット

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