「 子 宮 内 膜 症 」 は 漢 方 で 治 る!


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              加 茂 川 ブ ル ー ス

2007 年 5 月 『 漢 方 の 臨 床 』 に 「 漢 方 治 療 で 手 術 が 不 要 と な っ た 子 宮 内 膜 症 の 1 例 」 を 報 告 し た。 症 例 は 20 代 の 未 婚 女 性 で、 チ ョ コ レ ー ト 嚢 胞 の 手 術 を 2 度 も 受 け た の だ が、 2 度 目 の 手 術 の 後 も 疼 痛 が 持 続 す る た め、 3 度 目 の 手 術 を 勧 め ら れ た 方 で あ る 。 漢 方 煎 じ 薬 で 治 療 を 行 い、 チ ョ コ レ ー ト 嚢 胞 の 消 失 と 症 状 の 改 善 が 認 め ら れ、 手 術 を 回 避 で き た の で あ る 。 患 者 さ ん は そ の 後、 結 婚 さ れ、 子 供 も も う け る こ と が で き た 。 い ま で も 感 謝 の 連 絡 を 頂 く 。

患 者 さ ん は 今 日 の ス ト レ ス 社 会 の 影 響 で、 交 感 神 経 が 緊 張 状 態 に 置 か れ、 そ の た め 気 血 の 流 通 が 鬱 滞 し、痰 飲 や 瘀 血 が 産 生 さ れ た 状 態 で あ っ た 。 血 流 の 鬱 滞 は 種 々 の 炎 症 性 メ デ ィ エ ー タ ー を 産 生 す る た め 、異 所 性 の 子 宮 内 膜 の 増 殖 や 炎 症 を 助 長 す る 。 子 宮 内 膜 症 は 原 因 は 不 明 だ が、 慢 性 炎 症 疾 患 と 考 え ら れ る 。 治 療 は 疏 肝 理 気 活 血 化 痰 と し、 香 附 子、 延 胡 索、 芍 薬、 牡 丹 皮、 烏 薬、 半 夏、 茯 苓、 蒼 朮、 黄 耆、 黄 柏、 甘 草 を 投 与 。 そ の 後、 加 減 し 著 効 を 得 た 。 香 附 子 ・ 延 胡 索 ・ 烏 薬 は 気 血 を 巡 ら し 痛 み を 除 く 。 芍 薬 ・ 牡 丹 皮 は 瘀 血 を 、 半 夏 ・ 茯 苓 ・ 蒼 朮 は 痰 飲 を 除 く 。

同 様 の 患 者 さ ん が 京 都 ま で や っ て き た 。 東 京 で 有 名 な 保 険 の き か な い 医 療 機 関 を 2 か 所 訪 れ た の だ が、 チ ョ コ レ ー ト 嚢 胞 の 縮 小 は み ら れ ず、 却 っ て 月 経 痛 も 生 じ る よ う に な っ た た め、 わ ざ わ ざ 京 都 の 著 者 の 診 察 を 希 望 し 来 院 し た 。 本 例 も 以 前 報 告 し た 症 例 と 同 じ よ う に、 現 代 ス ト レ ス 社 会 に よ る 気 血 の 鬱 滞 が ト リ ガ ー と 考 え ら れ た 。 そ こ で 治 療 は 先 の 報 告 例 と 同 じ 疏 肝 理 気 活 血 化 痰 と し、 柴 胡 4、 桂 皮 4、 延 胡 索 4、 芍 薬 4、 牡 丹 皮 3、 桃 仁 3、 半 夏 4、 茯 苓 5、 蒼 朮 4、 陳 皮 3、 木 香 2、 山 梔 子 3、 生 姜 2、 甘 草 2、 牡 蠣 5 ( 先 煎 ) を 投 与 し た 。 2 週 間 後 笑 顔 で 来 院 。 寝 つ き が よ く な り 冷 え が 消 失 。 体 調 も 改 善 。 6 週 後 に は 月 経 痛 も 出 現 し な く な っ た 。

本 例 の 処 方 内 容 を み る と 、 柴 胡 桂 枝 + 桂 枝 茯 苓 丸 + 安 中 散 加 減 と 考 え ら れ る 。 柴 胡 ・ 延 胡 索 ・ 桂 皮 ・ 木 香 は、 ス ト レ ス に よ る 気 血 の 循 行 を 改 善 さ せ、 鎮 痛 作 用 を 発 揮 す る 。 と く に 婦 人 科 の 疼 痛 に は 延 胡 索 が 頻 用 さ れ る 。 半 夏 ・ 茯 苓 ・ 蒼 朮 ・ 陳 皮 は 痰 飲 を 化 し て 除 く 。 山 梔 子 は 血 や 痰 飲 の 鬱 滞 に よ り 発 す る 熱 を 清 す る 。 牡 蠣 に は 安 寧 や 益 陰 作 用 が あ る が、 化 痰 軟 堅 散 結 作 用 も あ る た め、 チ ョ コ レ ー ト 嚢 胞 を 消 失 さ せ る 目 的 で 使 用 し て い る 。


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漢 方 で 「 子 宮 内 膜 症 」 が 治 っ た



西に傾く太陽に染まるお台場海浜公園、6 May 2013レインボーブリッジと高層ビル群を望む






子 宮 内 膜 症 と は 子 宮 内 膜 組 織 が 子 宮 以 外 の 部 位に 存 在 す る 疾 患 で 、 月 経 困 難 症 を 引 き 起 こ す 代 表 的 な 疾 患 で あ る 。 疼 痛 の た め 日 常 生 活 に 支 障 を 来 た し 、 や む な く 仕 事 を あ き ら め る キ ャ リ ア ウ ー マ ン も 多 い 。 不 妊 症 の 原 因 と も な る 。 本 疾 患 に 悩 む 女 性 は 、 国 内 で
1 0 0 ~ 2 0 0 万 人 に も 上 る も の と 推 定 さ れ て い る 。 事 は 重 大 だ 。

発 症 機 序 と し て 2 つ の 考 え 方 が あ る 。 (1) 子 宮 内 膜 逆 流 説 。 月 経 血 は し ば し ば 卵 管 を 通 過 し 腹 腔 内 に 逆 流 す る 。 こ れ は 生 理 中 の 手 術 な ど で 確 認 さ れ て い る 。 そ の 月 経 血 中 に 含 ま れ る 子 宮 内 膜 組 織 が 、腹 膜 ( 腹 腔 ・ 体 腔 ) 上 に 定 着 し 増 殖 し て 発 症 す る と い う 考 え で あ る 。 (2) 腹 膜 上 皮 化 生 ( 分 化 ) 説 。 子 宮 や 卵 管 の 原 基 ( ミ ュ ラ ー 管 ) は 、発 生 学 的 に 胎 生 時 の 体 腔 上 皮 か ら 分 化 す る 。 そ こ で 腹 膜 上 皮 は 子 宮 内 膜 に 分 化 す る 可 能 性 を 有 し て い る と い う 考 え で あ る 。

し か し 、 逆 流 説 に し ろ 化 生 説 に し ろ 、 単 独 で 発 症 機 序 を 説 明 す る こ と は 困 難 で あ る 。 そ こ で 両 者 の 組 み 合 わ せ ( い い と こ ろ 取 り ? ) で 説 明 し よ う と す る 考 え 方 も あ る 。 い ず れ の 説 に し ろ 、 腹 膜 上 で 異 所 性 組 織 ( 子 宮 内 膜 ) が 増 殖 ( 生 育 ) す る と は 、 イ ン キ ュ ベ ー タ ー で は あ る ま い し 、 極 め て 異 常 な こ と と 言 わ ざ る を 得 な い 。 子 宮内 膜 症 で は 免 疫 シ ス テ ム が 正 常 に 作 動 し て い な い こ と に な る 。

 最 近 、 「 抗 ア レ ル ギ ー 薬 ( ロ イ コ ト リ エ ン 拮 抗 薬 ) が 子 宮 内 膜 症 に 有 効 」 と の 報 告 が み ら れ る 。 ロ イ コ ト リ エ ン は 抗 原 抗 体 反 応 に よ り 、 肥 満 細 胞 や 好 酸 球 か ら 分 泌 さ れ る 。 気 管 支 喘 息 や 蕁 麻 疹 な ど ア レ ル ギ ー 性 炎 症 を 引 き 起 こ す ア ラ キ ド ン 酸 由 来 物 質 だ 。

2 0 0 2 年 、 「 子 宮 内 膜 症 に は 自 己 免 疫 疾 患 や 内 分 泌 疾 患 が 高 率 に 合 併 す る 」 と い う レ ポ ー ト が 米 国 よ り 発 せ ら れ た 。 日 本 と は 異 な り 大 規 模 な 研 究 で あ り 十 分 に 信 頼 で き 得 る も の と 思 わ れ る 。 そ れ に よ る と “ ア レ ル ギ ー ” は 子 宮 内 膜 症 の 6 1 % ( 1 8 % ) に 、“ 喘 息 ” は 1 2 % ( 5 % ) に 認 め ら れ た ( カ ッ コ 内 は 一 般 の 対 象 者 の も の ) 。 ア レ ル ギ ー 性 疾 患 と 子 宮 内 膜 症 はか な り の 高 率 で 合 併 す る 。

慢 性 疲 労 症 候  や 線 維 筋 痛 症 と の 合 併 も 有 意 に 高 い 。 慢 性 疲 労 症 候 群 や 線 維 筋 痛 症 と 子 宮 内 膜 症 が 併 発 し た 場 合 、 ア レ ル ギ ー や 喘 息 と の 合 併 が さ ら に 高 ま る 。 慢 性 疲 労 症 候 群 や 線 維 筋 痛 症 の 原 因 は 未 だ 不 明 で あ る が 、 両 者 は 同 一 の 疾 患 範 疇 に 入 る ?  い ず れ に し ろ は “ 免 疫 異 常 ” に 起 因 す る も の と 思 わ れ る 。

子 宮 内 膜 症 の 病 巣 組 織 に は 特 異 的 に ア ロ マ タ ー ゼ ( エ ス ト ロ ゲ ン 合 成 酵 素 ) が 存 在 す る た め 、エ ス ト ロ ゲ ン と プ ロ ス タ グ ラ ン ジ ン E 2 ( P G E 2 ) の 産 生 が 亢 進 する 。 エ ス ト ロ ゲ ン と P G E 2 は と も に 子 宮 を 収 縮 さ せ る 。 さ ら に 、エ ス ト ロ ゲ ン は 子 宮 内 膜 を 増 殖 さ せ 、P G E 2 は 子 宮 内 膜 に 炎 症 を 引 き 起 こ す 。 子 宮 が 異 常 に 収 縮 し 、 子 宮 内 膜 が 炎 症 を 伴 い 増 殖 す る と 、 生 理 中 で な く と も 疼 痛 に 悩 ま さ れ る 。 ホ ル モ ン 療 法 は 有 効 で あ る が 、 妊 娠 を 希 望 す る 女 性 に は 使 用 で き な い 。 そ れ に 、 副 作 用 ( 不 快 な 症 状 ) の 問 題 も あ る 。 そ れ な ら 漢 方 。

桂 枝 茯 苓 丸 な ど の 駆 瘀 血 剤 ( 瘀 血 を 除 く ク ス リ ) が 漠 然 と 処 方 さ れ て い る よ う で あ る 。 効 果 の 程 は 疑 わ し い 。 エ キ ス 製 剤 だ け で 痛 み か ら 開 放 さ れ る よ う な ら 、 だ れ も 苦 労 な ど し な い 。 牡 丹 皮 や 桃 仁 な ど の 駆瘀 血 薬 は 必 要 。 で も 、 プ ラ ス ア ル フ ァ が エ ッ セ ン シ ャ ル で あ る 。

先 の 米 国 の 論 文 の よ う に 、 子 宮 内 膜 症 で は ア ト ピ ー や 喘 息 と の 合 併 や 既 往 、 そ し て 全 身 倦 怠 を 訴 え る ケ ー ス が 多 い よ う に 感 じ る 。 ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 、 掌 蹠 膿 疱 症 、 関 節 リ ュ ウ マ チ や 慢 性 疲 労 症 候 群 の 漢 方 治 療 に は 、 し ば し ば 黄 耆 が 必 要 で あ り 著 効 す る 。 「 神 農 本 草 経 」 に 黄 耆 は 「 治 癰 疽 久 敗 瘡 .排 膿 止 痛 .大 風 癩 疾 .五 痔 鼠 瘻 .補 虚 .小 兒 百 病 」 と あ る 。 難 治 性 の 慢 性 炎 症 に 有 効 で あ る 。 免 疫 力 を 高 め る 結 果 と 考 え ら れ る 。 十 分 な 手 ご た え が 感 じ ら れ る 。 漢 方 治 療 で 手 術 が 不 要 に な っ た 子 宮 内 膜 症 も 参 照 し て く だ さ い 。 



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生 理 痛 に は 柴 胡 桂 枝 湯 + 安 中 散










高 齢 の 女 性 。 歩 行 中 に 意 識 を 失 い 救 急 車 で 来 院 。 20 日 前 に も 同 じ こ と が あ っ た 。 来 院 時 に は 意 識 は 清 明 で 、 麻 痺 も 認 め な い 。 聴 診 し て み る と 汎 収 縮 期 の 心 雑 音 が 聴 か れ る 。 大 動 脈 弁 狭 窄 症 ( AS ) が 疑 わ れ た 。 心 エ コ ー を 行 う と 重 度 A S と 判 明 。 A S で は 運 動 な ど で 冠 状 動 脈 の 血 流 が 不 足 す る た め 突 然 死 の 危 険 が あ る 。 前 回 意 識 消 失 時 に 救 急 車 で 運 ば れ た 大 塚 の 病 院 で は 、な ぜ AS の 診 断 が で き な か っ た の だ ろ う ?  こ こ に 今 日 の 医 療 が 抱 え る 重 大 な 問 題 が 潜 ん で い る 。 医 療 器 械 に 頼 り 過 ぎ 、診 察 を お ろ そ か に し て し ま う 、 の だ 。

コ ン ピ ュ ー タ ー の 画 像 ば か り 眺 め て い て 、 血 圧 の 測 定 も 聴 診 器 も 当 て て く れ な い 、と い う 話 を 患 者 か ら よ く 聞 か さ れ る 。 こ こ ろ の 病 は 最 新 の 器 械 を 駆 使 し て も 結 果 は 正 常 と で る 。 著 者 は 7 年 間 無 医 村 に 奉 職 し た 。 最 新 機 器 で 教 育 さ れ た 医 師 は 無 医 村 で は 勤 ま ら な い 。 器 械 に 依 存 し 過 ぎ る と 患 者 が 現 わ し て い る 徴 候 の 囁 き が 聴 え な い 。

月 経 不 順 で 婦 人 科 を 受 診 し ホ ル モ ン 検 査 。 異 常 が み つ か る 場 合 は 少 な い と 思 わ れ る の だ が 、 疼 痛 が ひ ど い と ピ ル が 処 方 さ れ る 。 服 用 し て い る と き は 疼 痛 か ら 解 放 さ れ る の だ ろ う が 、 今 後 結 婚 し 出 産 を 考 え る と ・ ・ ・  ホ ル モ ン 検 査 よ り 彼 女 の 囁 き に こ そ 糸 口 が 。 月 経 不 順 が ス ト レ ス ( 気 鬱 ) に よ る も の か 、 冷 え 性 に よ る も の か ?

女 性 の 言 葉 に 耳 を 傾 け て い れ ば 、 自 ず と 治 療 法 が 浮 か ん で く る 。不 通 則 痛 と 云 わ れ る が 気 鬱 や 冷 え で は 血 流 が 停 滞 す る た め 、 疼 痛 や 月 経 不 順 が 生 じ る 。 耳 を 傾 け 、 脈 に 触 れ 、 舌 を 診 れ ば 診 察 終 了 。 気 鬱 は 柴 胡 剤 、 冷 え は 当 帰 芍 薬 散当 帰 四 逆 湯 な ど 。

し か し 現 代 社 会 で は ス ト レ ス の 蓄 積 が 著 し く 、 気 鬱 + 熱 や 冷 え が 絡 み 合 い 病 態 を 複 雑 に す る 。 柴 胡 桂 枝 湯安 中 散 加 減 ( 漢 方 ) が 有 効 な 場 合 が 多 い が 、 ピ ル は 生 理 を 止 め ホ ル モ ン を 狂 わ せ る 。 生 理 的 ホ ル モ ン サ イ ク ル を 狂 わ せ る 治 療 は 問 題 の 先 送 り で あ る 。



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子 宮 内 膜 症 は 漢 方 で 治 る




小網神社写 真 は 強 運 神 社 と し て 放 送 さ れ た
日 本 橋 の 「 小 網 神 社 」 で あ る 
写 真 か ら 「 運 」 を ゲ ッ ト し て く だ さ い 。
し か し い か に 強 運 神 社 と い え ど も
努 力 を 惜 し む も の に は 微 笑 む ま い 。
She is coming to love the hard worker.
Hard work can only get the fortune !
ス マ イ ル ズ の 自 助 論 は 述 べ る 。



読 者 の 方 か ら 子 宮 内 膜 症 の 漢 方 論 文 を 掲 載 し て と の ご 要 望 を 多 数 い た だ き ま し た 。 3 年 前 に 発 表 し た 小 論 文 ( 漢 方 の 臨 床 ) を 掲 載 い た し ま す 。

漢 方 治 療 で 手 術 が 不 要 と な っ た 子 宮 内 膜 症 の 一 例
【 は じ め に 】 女 性 の 社 会 進 出 と と も に ラ イ フ ス タ イ ル は 変 化 し、 結 婚 に対 す る 価 値 観 も 大 き く 変 貌 し て き た 。 結 婚 し な い 女 性 や 晩 婚 化 の 増 加 は、 高 齢 出 産 や 少 子 化 の 問 題 を は ら む 。 子 宮 内 膜 な い し 子 宮 内 膜 類 似 組 織 は エ ス ト ロ ゲ ン に 依 存 し 増 殖 す る 。 こ の た め こ れ ら の 社 会 現 象 は 子 宮 内 膜 症 の 危 険 因 子 と な り 得 る 。 一 方、 妊 娠 や 出 産 が 増 え る に し た が い、 リ ス ク は 低 下 す る 。

不 妊 女 性 の 20~50% が 子 宮 内 膜 症 を 合 併 し て い る と い わ れ る 。 少 子 化 が 社 会 問 題 と し て 取 り 上 げ ら れ る 昨 今、 子 宮 内 膜 症 の 解 明 は 社 会 責 務 と い え る 。 ま さ に漢 方 の 真 価 が 問 わ れ て い る 。 子 宮 内 膜 症 は 術 後 も 再 発 率 が 高 く、 発 症 率 も 増 加 し て い る 。 現 代 医 学 で も 難 儀 す る 疾 患 で あ る が、 幸 運 に も 漢 方 薬 が 著 効 し た 術 後 再 発 例 を 経 験 し た 。 治 療 の 一 助 と な れ ば と 思 い 報 告 す る 。

【 症 例 と 経 過 】
【 症 例 】 20 代 女 性、 未 婚 女 性 。
【 初 診 】 平 成 X 年 11 月 22 日 。
【 主 訴 】 生 理 痛 。
【 既 往 歴 】 9 歳、 気 管 支 喘 息 。 12 歳、 ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 。
【 家 族 歴 】 特 記 す べ き こ と な し 。
【 現 病 歴 】 初 潮 は 11 歳 。 20 歳 頃 よ り 月 経 時 に 左 下 腹 部 に ズ キ ズ キ す る 痛 み を 感 じ る よ う に な っ た 。 そ の 後 も 疼 痛 が 持 続 す る た め、 21 歳 の と き A 病 院 産 婦 人 科 を 受 診 し、 子 宮 内 膜 症 ( 左 卵 巣 チ ョ コ レ ー ト 嚢 胞 ) と 診 断 さ れ る 。 疼 痛 が 改 善 し な い た め 手 術 が 施 行 さ れ、 半 年 間 ゴ ナ ド ト ロ ピ ン 放 出 ホ ル モ ン ア ゴ ニ ス ト の 鼻 腔 内 ス プ レ ー を 行 な っ た 。 そ の 後 疼 痛 は 消 失 し 安 定 し て い た 。   

平 成 X-2 年 春 頃 ( 2 6歳 時 )、 再 び 生 理 痛 が 出 現 し 悪 化 す る た め B 病 院 産 婦 人 科 を 受 診 し た 。 貧 血 が ひ ど く 疼 痛 も 改 善 し な い た め、 同 年 11 月 に 手 術 が 行 な わ れ た 。 し か し、 術 後 も 疼 痛 が 持 続 し、 NSAIDs ( ボ ル タ レ ン ) を 離 せ な い よ う な 状 態 で あ っ た 。 抗 ア レ ル ギ ー 剤 ( リ ザ ベ ン ) と 漢 方 エ キ ス 剤 ( 補 中 益 気 湯 ・ 桂 枝 茯 苓 丸 ) も 投 与 さ れ た が 無 効 で あ っ た 。

平 成 X 年 の 夏 頃 に な る と、 NSAIDs も 効 か な い よ う に な っ て き た 。 そ の た め 医 師 に 再 び 手 術 を 勧 め ら れ る よ う に な っ た 。 前 回 の 術 後 に 出 血 が 止 ま ら な い こ と が あ っ た た め、 本 人 お よ び 家 族 は 手 術 を 希 望 せ ず、 以 前 に ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 が 漢 方 で 治 癒 し た こ と か ら、 漢 方 で 何 と か な ら な い か と 平 成 X 年 11 月 22 日 当 院 を 訪 れ た 。

【 現 症 】 身長 155 セ ン チ、 体 重 42 キ ロ 。 朝 起 床 が つ ら く 体 が だ る い 。 食 欲 は あ る が、 胃 が も た れ て胸 焼 け が す る 。 便 通 は 3 日 に 1 回 。 足 が 冷 え る 。 寝 つ き が よ く な い 。 月 経 周 期 は 25~28 日 。 生 理 前 に イ ラ イ ラ し 頭 が 痛 く な る 。 生 理 に な る と 左 下 腹 部 が 刺 さ れ る よ う に 痛 む 。 月 経 血 に 血 塊 が 多 い 。 血 性 の 帯 下 も 時 々 あ る 。 と き ど き 抑 う つ 的 に な る 。 脈 は 80 で 滑 。 舌 は 淡 紅 で 潤、 白 膩 苔 あ り 。

【 臨 床 経 過 】 理 気 活 血 し 痰 飲 を 除 く こ と を 目 的 と す る 。 香 附 子 6 グ ラ ム、 芍 薬 6、 牡 丹 皮 6、 延 胡 索 6、 半 夏 5、 茯 苓 6、 蒼 朮 6、 黄 耆 7、 黄 柏 5、 烏 薬 4、 生 甘 草 3 を 投 与 し、 婦 人 科 か ら の 薬 は 中 止 と し た 。

12 月 5 日 : 起 床 が 楽 に な っ て き た 。 尿 量 が 増 え た が、 血 性 の 帯 下 が あ っ た 。 前 方 に 桃 仁 4 を 追 加 し、 黄 耆 を 10、 黄 柏 を 3 に 変 更 す る 。

12 月 19 日 : 入 眠 が よ く な り、 体 が 軽 く 感 じ る 。 12 日 に 蕁 麻 疹 が 出 現 し た が 自 然 に 消 え た 。 16 日 よ り 生 理 が 始 ま っ た が 腹 痛 は な く、 生 理 前 の 頭 痛 も 軽 か っ た 。 血 塊 は 相 変 わ ら ず 多 か っ た 。 便 秘 を 訴 え る た め 大 黄 3 ( 後 下 ) を 前 方 に 加 え る 。

平 成 X+1 年 1 月 10 日 : 足 の 冷 え が 改 善 し な い 。 前 方 の 香 附 子 を 呉 茱 萸 3 に 変 更 し、 乾 姜 1 を 加 え る 。

2 月 6 日 : 今 回 は 生 理 痛 も 頭 痛 も な く、 血 塊 も み ら れ な か っ た 。 前 方 を 処 方 す る 。

3 月 7 日 : 生 理 時 に 少 し お 腹 が 重 く な り、 生 理 後 一 週 間 茶 色 の 帯 下 が み ら れ た 。 疲 れ は な く な り 足 の 冷 え も 消 失 。 前 方 を 処 方 す る 。

4 月 10 日 : 今 回 は 生 理 痛 は な か っ た が、 生 理 前 の 眠 り が よ く な か っ た 。 婦 人 科 の 定 期 健 診 で は、 卵 巣 嚢 胞 は 縮 小 し て い る と い わ れ た 。 前 方 に 香 附 子 6 を 加 え、 蒼 朮 を 竹筎6 に 変 え、 黄 耆 を 6 に 減 量 す る 。

5 月 2 日 : 生 理 痛 は な か っ た が、 軟 便 と な っ た 。 前 方 か ら 半 夏 を 除 き、 大 黄 を 2 に 減 量 す る 。

6 月 5 日 : 排 卵 前 後 に 多 少 イ ラ ツ ク 。 体 が 暑 く 感 じ る よ う に な って き た 。 前 方 か ら 黄 耆 を 除 き、 竜 胆 3 を 加 え る 。

7 月 3 日 : 生 理 痛 は な か っ た が、 排 卵 日 に 多 少 左 下 腹 部 痛 が あ っ た 。 手 指 に 汗 包 が 出 現 し た 。 体 が 暑 く 感 じ る 。 前 方 か ら 呉 茱 萸 を 除 き、 連 翹 5、 薏 苡 仁 12 を 加 え る 。

8 月 1 日 : 生 理 痛、 排 卵 痛 と も な か っ た 。 婦 人 科 で 「 直 径 4 セ ン チ あ っ た 卵 巣 嚢 胞 が 消 失 し て い る 。 漢 方 が 効 い て い る よ う な の で、 検 査 は 年 に 1 回 で よ い 」 と い わ れ た と 話 す 。 気 分 も よ い 。 そ の 後 も 加 減 方 を 服 用 し 痛 み も な く 順 調 に 経 過 し て い る 。 現 在 の 処 方 は、 香 附 子 4、 延 胡 索 4、 芍 薬 4、 白 朮 4、 蒼 朮 4、 茯 苓 4、 厚 朴 3、 黄 柏 3、 炙 甘 草 1、 生 姜 1、 大 黄 2 ( 後 下 ) で あ る 。

【 考 察 】
子 宮 内 膜 症 と は、 子 宮 内 膜 お よ び 子 宮 内 膜 類 似 組 織 が、 子 宮 以 外 の 組 織 で 増 殖 す る 疾 患 で あ る 。 内 膜 組 織 が 子 宮 筋 層 内 に 浸 潤 し て い る 場 合 は、 子 宮 腺 筋 症 と し て 区 別 す る 。

発 症 機 序 と し て は、 「 子 宮 内 膜 腹 腔 内 逆 流 移 植 説 」 と 「 体 腔 上 皮 化 生 説 」 が よ く 知 ら れ て い る 。 両 者 の 折 衷 案 的 な 考 え 方 も あ る 。 し か し、 移 植 説 で あ れ 化 生 説 に し ろ、 正 常 の 免 疫 機 構 の も と で は 異 所 性 の 子 宮 内 膜 組 織 は 排 除 さ れ る 。 本 症 発 症 の 背 景 に は 免 疫 異 常 の 存 在 が 示 唆 さ れ る 。 子 宮 内 膜 症 患 者 の NK 細 胞 活 性 と 多 核 白 血 球 走 化 指 数 は 低 下 し、 血 中 プ ロ ス タ グ ラ ン ジ ン E2 ( PGE2 ) と の 間 に 逆 相 関 が み ら れ る と い う 。

異 所 性 子 宮 内 膜 組 織 ( 病 巣 ) で は、 エ ス ト ロ ゲ ン の 合 成 に 不 可 欠 な 酵 素 で あ る、 ア ロ マ タ ー ゼ が 特 異 的 に 発 現 し て い る た め、 エ ス ト ロ ゲ ン の 産 生 が 増 加 す る 。 エ ス ト ロ ゲ ン は PGE2 の 合 成 酵 素 で あ る シ ク ロ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ ー 2 ( COX-2 ) の 発 現 を 誘 導 す る た め、 PGE2 の 産 生 も 増 加 す る 。 PGE2 は ア ロ マ タ ー ゼ の 発 現 を 増 強 す る た め、 さ ら に エ ス ト ロ ゲ ン が 増 加 す る と い う 悪 循 環 が 形 成 さ れ る 。 エ ス ト ロ ゲ ン は 子 宮 内 膜 組 織 を 増 殖 さ せ、 PGE2 は 子 宮 筋 お よ び 子 宮 動 脈 を 収 縮 さ せ る た め、 疼 痛 が 出 現 す る 。

さ ら に PGE2 は モ ノ ア ミ ン に よ る 神 経 情 報 伝 達 を 阻 害 す る 。 気 分 障 害 患 者 で は PGE2 が 増 加 し て い る と い う 。 本 例 で み ら れ た 倦 怠 感 や 抑 う つ 気 分 に も 関 与 し て い た 可 能 性 が あ る 。 本 症 は 免 疫 や 代 謝 の 異 常 を も 包 括 す る 全 身 性 疾 患 と い え る 。 ホ ル モ ン 治 療 や COX-2 阻 害 薬 や ア ロ マ タ ー ゼ 阻 害 薬 も 根 治 療 法 と は い い が た い 。 あ ら た め て 治 療 の 難 し さ を 感 じ る 。

本 症 に 対 す る 漢 方 治 療 の 主 体 は、 臨 床 症 状 の 緩 和 と ホ ル モ ン 療 法 お よ び 術 後 の 再 発 防 止 に あ る 。 現 代 医 学 に よ る 治 療 が 中 心 で あ り、 漢 方 は 補 助 的 な 立 場 に あ る。 そ の 中 で 使 用 頻 度 が 高 い 漢 方 薬 は、 桂 枝 茯 苓 丸、 当 帰 芍 薬 散、 桃 核 承 気 湯、 温 経 湯、 加 味 逍 遥 散 な ど で あ る 。 冷 え が 症 状 を 悪 化 さ せ て い る 場 合 は、 温 薬 の 投 与 も 考 慮 さ れ る 。 「 不 通 則 痛 」 と い わ れ る よ う に、 血 行 が 阻 害 さ れ る と 痛 み が 生 じ る 。 漢 方 薬 は 瘀 血 を 除 き 血 行 を 改 善 す る 働 き が あ る た め、 疼 痛 の 軽 減 に は 効 果 を あ ら わ す 。

子 宮 内 膜 症 ・ 子 宮 腺 筋 症 ・ 子 宮筋 腫 の 治 療 に、 最 も 高 頻 度 に 用 い ら れ て い る の が 桂 茯 苓 丸 で あ る 。 本 症 の 血 清 マ ー カ ー で あ る CA125 は、 桂 枝 茯 苓 丸 の 治 療 で 低 下 す る 。 田 中 ら は、 彼 ら が 樹 立 し た 子 宮 内 膜 細 胞 培 養 実 験 系 に お け る 結 果 か ら、 桂 枝 茯 苓 丸 に は 内 分 泌 を 介 さ な い 免 疫 調 節 作 用、 子 宮 内 膜 細 胞 に 対 す る 直 接 的 な 細 胞 増 殖 分 化 調 節 作 用 が 存 在 す る、 と 報 告 し て い る 。 今 後 は 個 々 の 生 薬 に 対 す る 情 報 も 期 待 し た い 。

本 例 の 初 診 時 の 治 療 方 針 は、 香 附 子 ・ 烏 薬 ・ 延 胡 索 ・ 芍 薬 ・ 牡 丹 皮 によ り 調 経・ 活 血 ・ 化 瘀 を は か り、 血 を 行 ら せ 痛 み を 除 く こ と に 主 眼 を 置 い た 。 痰 飲 の 存 在 も 明 ら か な た め、 半 夏 ・ 茯 苓 ・ 蒼 朮 も 用 い た 。

黄 耆 に は 補 気 作 用 の ほ か 托 瘡 生 肌 作 用 も み ら れ る 。 皮 膚 化 膿 症 に お け る 排 膿 遅 延 や 長 び く 創 口 の 開 存 ( フ ィ ス テ ル や 痔 瘻 な ど ) の 治 療 に も 用 い ら れ る。 『 神 農 本 草 経 』 に は、 「 黄 耆 味 甘 微 温 主 癰 疽 久 敗 創 排 膿 止 痛 大 風 癩 疾 五 痔 鼠 瘻 補 虚 小 兒 百病 一 名 戴 糝 生 山 谷 」 と の 記 載 が あ る 。 チ ョ コ レ ー ト 嚢 胞 に も 有 効 な よ う に 感 じ ら れ 使 用 し た 。

本 症 は 免 疫 性 炎 症 疾 患 と し て の 一 面 を 有 す る 。 黄 柏 は 清 熱 解 毒 作 用 を 有 す る た め、 抗 炎 症 効 果 を 狙 っ て 用 い た 。 幸 い に も 経 過 は 良 好 で あ っ た が、 六 月 頃 に な る と 季 節 的 な 要 因 な の か 処 方 が 熱 性 に 傾 い て い た た め か、 患 者 が 熱 感 を 訴 え る よ う に な っ て き た 。 そ こ で 黄 耆 と 呉 茱 萸 を 除 き、 竜 胆 と 連 翹 を 加 え た 。

そ の 後 は 順 調 に 経 過 す る た め、 生 薬 を 加 減 し な が ら 減 量 中 で あ る 。 当 初 よ り 一 貫 し て 使 用 し て き た 生 薬 は、 延 胡 索 ・ 芍 薬 ・ 茯 苓 ・ 黄 柏 で あ る 。 著 者 は 月 経 痛 に は 延 胡 索 を 好 ん で 用 い る 。 芍 薬 に は PGE2 の 産 生 を 抑 制 す る 作 用 が あ る と い う 。 月 経 困 難 症 に は 欠 か せ な い 生 薬 で あ る 。 痰 飲 の 存 在 も 気 血 の 流 れ を阻 害 す る た め 症 状 を 悪 化 さ せ る 。

活 血 化 瘀 だ け で は 治 療 は 片 手 落 ち で あ り、 全 面 性 に 欠 け る 。 黄 耆 や 黄 柏 や 竜 胆 の 本 症 に 対 す る 働 き も、 検 討 す べ き 問 題 と 考 え る 。 漢 方 は 本 来 グ ロ ー バ ル な 視 点 が 求 め ら れ る 医 学 で あ る 。 旧 来 の 理 論 に 固 執 せ ず、 漢 方 を 科 学 す る 姿 勢 こ そ 必 要 と 思 わ れ る 。 ( 本 論 文 は 本 人 ・ ご 家 族 の 快 諾 を い た だ き 報 告 し た も の で す ) 。

【 参 考 文 献 】 省 略 し ま す 。 

詳 細 は 「 漢 方 の 臨 床」 を ご 参 照 く だ さ い 。 ご 本 人 は 現 在 結 婚 し 楽 し い 生 活 を 送 っ て い ま す 。 と き ど き 妻 宛 て に お 手 紙 を い た だ い て お り ま す が 、今 は 症 状 も な い た め 、く す り は 服 用 し て い ま せ ん 。 ま た お 子 さ ん が 誕 生 し た と の お 目 出 度 も あ り ま す 。



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テーマ:子宮筋腫 - ジャンル:ヘルス・ダイエット

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