半 夏 瀉 心 湯 と 黄 連 湯 ( 改 訂 版 )


北区西が丘1丁目(2月2日早朝)西が丘ナショナルスポーツセンター陸上競技場







「 半 夏 瀉 心 湯 」 と 「 黄 連 湯 」 は 似 て 非 な る 方 剤 で あ る 。 両 者 の 適 用 病 態 と は ? 症 例 を 提 示 し 考 え て み よ う 。

40 代 女 性 。 2 年 前 か ら 体 が だ る く て 、ス ッ キ リ し な い 。 半 年 前 か ら、 め ま い ( ク ラ ク ラ ) や 動 悸 も 出 現 。 顔 貌 は 沈 み 表 情 が 乏 し く 活 気 が な い 。 も たれ や 胸 焼 け が す る た め、 近 医 か ら オ メ プ ラ ー ル を 投 与 さ れ て い る が、 改 善 し な い 。 と き ど き 胸 苦 し く な り、 空 気 が 入 っ て 行 か な い よ う に 感 じ る 。 気 力 が な く、 や る 気 が 起 き な い 。 寝 つ き も よ く な い 。 生 理 は 順 調 で、 痛 み も な い 。 手 足 は 冷 え る 。 便 通 は 正 常 。 血 圧 108 /70 。 脈 は 80、 沈 細 滑 。 舌 は 淡 紅 で 白 苔 (+) 。

気 鬱 に よ り 脾 胃 の 昇 降 不 利 ( 脾 胃 不 和 ) が 生 じ て い る 。 香 蘇 散 エ キ ス 顆 粒 + 半 夏 瀉 心 湯 エ キ ス 顆 粒 を 投 与 す る 。 再 診 ( 2 週 間 後 )、 胃 の 調 子 も 気 分 も 良 く な っ て 来 て い る 。 三 診 ( 4 週 間 後 )、 前 回 よ り は 改 善 し て い る が 、め ま い や 胸 苦 し さ が 改 善 し な い 。 処 方 を 香 蘇 散 + 黄 連 湯 に 変 更 す る 。 四 診 ( 8 週 後 )、 め ま い も 胸 苦 し さ も 消 失 し た 。 胃 薬 を 中 止 し た が、 も た れ も 胸 焼 け も な く な っ た 。 睡 眠 も よ い 。 そ の 後 も 同 方 を 服 用 し、 再 発 な く 安 定 し て い る 。

両 者 の 構 成 生 薬 を み る と、半 夏 瀉 心 湯 の 黄 芩 ・ 黄 連 の コ ン ビ が、 黄 連 湯 で は 黄 連 ・ 桂 枝 (皮) に 変 化 し て い る 。 ツ ム ラ の エ キ ス 製 剤 7.5 g 中 の 生 薬 量 を 比 較 す る と、 「 半 夏 瀉 心 湯 」 で は 黄 芩 2.5 g、 黄 連 1.0 g、 「 黄 連 湯 」 で は 黄 連 3.0 g、 桂 皮 3.0 g と な る 。 「 半 熱 瀉 心 湯 」 の 黄 芩 が 桂 枝 に 置 き 換 わ り、 黄 連 の 量 が “ 増 え た ” も の が 「 黄 連 湯 」 で あ る 。

両 者 に 含 ま れ る 黄 連 は、 「 邪 」 ( 胃 中 の 熱 ) を 清 す る 。 一 方、 両 者 の 共 通 構 成 生 薬 で あ る 人 参 ・ 乾 姜 ・ 炙 甘 草 ・ 大 棗 ( 補 剤 ) は、 【 生 体 側 】 に 脾 虚 が 存 在 す る こ と を 示 す 。 脾 は 虚 し ( 冷 え )て い る が、 胃 は 熱 化 し て い る 。 『 傷 寒 論 』 173 条 の 黄 連 湯 の 説 明 は、「 傷 寒, 胸 中 有 熱, 胃 中 有 邪 気, 腹 中 痛, 欲 嘔 吐 者, 黄 連 湯 主 之 」 。 「 黄 連 湯 証 」 の 胸 中 に 存 在 す る 熱 は、 胃 熱 が 上 逆 し た た め に 生 じ る、 と 考 え る の が 自 然 で あ る 。 「 欲 嘔 吐 」 が 胃 気 の 上 逆 を 暗 示 す る。

『 神 農 本 草 経 』 の 桂 枝 の 説 明 は、 「 牡 桂 ( 桂 枝 ). 味 辛 温. 生 山 谷 .治 上 氣 欬 逆. 結 氣. 喉 痺 吐 吸. 利 關 節. 補 中 益 氣. 久 服 通 神. 輕 身 不 老 」 。 こ の 「 治 上 気 欬 逆、 喉 痺 吐 吸 」 が 表 す よ う に、 「 桂 枝 」 は 正 気 を 昇 ら せ、 邪 気 を 降 ろ す 。 桂 枝 は 昇 清 降 濁 作 用 を 有 す る 。 桂 枝 で 胸 中 の 熱 を 胃 に 降 ろ し、 黄 連 で 胃 中 の 邪 気 ( 胸 中 の 熱 も ) を 清 す る 。

そ れ で は 「 半 夏 瀉 心 湯 」 の 黄 芩 の 働 き は 何 で あ ろ う? 小 柴 胡 湯 証 を 誤 下 し た た め、 病 邪 が 少 陽 三 焦 を 経 由 し、 心 下 に 停 滞 し ( 心 下 痞 )、 熱 化 し た も の を 治 す 。 心 下 と は 三 焦 の 一 部 で、 胃 の 上 に 冠 し、 胃 に 合 す る、 嚢 状 の 組 織 と 考 え ら れ る 。

半 夏 瀉 心 湯 は 方 剤 名 か ら 推 察 す る と 、心 下 か ら 「 心 」 に も 邪 熱 の 影 響 が 及 ん で い る 。 心 下 ( 三 焦 の 一 部 ) は 心 包 と 合 し て い る た め だ 。 心 下 ( 三 焦 )の 「 熱 邪 」 が 胃 に 影 響 を 与 え る と、 寒 熱 挟 雑 す る た め、 脾 胃 が 昇 降 不 利 を き た す 。 そ こ で 黄 芩 を 用 い、 心 下 の 熱 化 し た 邪 を 排 除 す る 。 胃 に 侵 入 し た 邪 熱 を 清 す る た め、 少 量 の 黄 連 も 必 要 。

両 剤 と も 脾 は 虚 し て い る が、 胃 に は 熱 邪 が 存 在 す る 。 胃 熱 の 程 度 は、 黄 連 湯 が 半 熱 瀉 心 湯 よ り 上 で あ る 。 本 例 で み ら れ た 動 悸 ・ 息 苦 し さ ・ め ま い な ど は、 胃 熱 が 「 心 」 に 上 逆 し た こ と に 起 因 し た の で あ る 。


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