不 登 校 に 抑 肝 散 加 陳 皮 半 夏


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起 立 性 調 節 障 害( OD )は 学 童 期 や 中 高 生 に み ら れ る 疾 患( 症 候 群 )で あ る 。 起 立 時 に 血 圧 を 保 持 す る こ と が で き な く な り、 脳 へ の 循 環 血 液 量 が 減 少 す る た め 発 症 す る 。 起 立 時 に め ま い が し た り、 立 っ て い る と 頭 が ク ラ ク ラ し、 倒 れ そ う に な っ た り す る 。 ま た 嫌 な こ と が あ る と 気 持 ち が 悪 く な る 。 午 前 中 は 調 子 が 悪 く、 し ば し ば 頭 痛 や 腹 痛 が 出 現 す る 。 起 立 性 の 循 環 障 害 だ け で は、 説 明 が つ か な い 徴 候 が 認 め ら れ る 。

こ れ ら は、 こ こ ろ( 自 律 神 経 や ホ ル モ ン ) の 失 調 な ど に 原 因 を 求 め ざ る を 得 な い 。 小 児 期 か ら 思 春 期 に お け る、 自 律 神 経 失 調 症 と 考 え ざ る を 得 な く な る 。 罹 患 率 は 小 学 生 で 5-10 %、 中 学 生 で 10-20 % と も い わ れ、 意 外 に ポ ピ ュ ラ ー な 疾 患 で あ る 。 起 床 が つ ら く 午 前 中 は 体 が ス ッ キ リ し な い た め、 本 人 の 意 思 に 反 し て、 不 登 校 に 陥 る ケ ー ス も あ る 。 不 登 校 は な に も 「 い じ め 」 だ け と は 限 ら な い 。

中 学 生 の 女 子 。 2 ヶ 月 以 上 前 か ら と く に 誘 因 な く 体 調 不 良 と な っ た 。 立 っ て い る と 頭 が ク ラ ク ラ し、 倒 れ そ う に な る た め、 8 週 間 前 に 公 立 病 院 の 小 児 科 を 受 診 。 OD を 疑 わ れ 低 血 症 治 療 薬 を 投 与 さ れ も 効 果 な し 。 と き ど き 頭 痛 や 腹 痛 や 嘔 気 や の ぼ せ も 出 現 す る 。 頭 痛 は 曇 り や 雨 の 日 に 悪 化 す る 。 朝 礼 や 人 混 み な ど で は、 空 気 が 入 っ て 来 な い よ う な 息 苦 し さ が 現 れ る 。 水 を 飲 む と 良 く な る 。 朝 は 体 が だ る く 起 床 が つ ら い 。

1 週 間 に 1 回 は 学 校 を 休 む 。 不 感 は な い が イ ラ イ ラ す る 。 睡 眠 は 良 好 だ が、 生 理 痛 が 8 ヶ 月 前 か ら ひ ど く な っ て き て つ ら い 。 脈 は 80 で 細 滑 弦、 両 尺 弱 。 舌 は 淡 紅、 薄 白 苔 。 腹 部 は 筋 力 充 実 し、 動 悸 や 腹 直 筋 の 緊 張 は み ら れ な い 。 邪 気 が 上 逆 し、 清 気 が 脳 に 到 達 し な い 。 抑 肝 散 加 陳 皮 半 夏 を 投 与 。 再 診( 10 日 後 )、 調 子 が 良 く な っ た 。 服 用 3 日 で ほ と ん ど 症 状 消 失  人 混 み で 頭 が 重 く な る 程 度 と な っ た

「 抑 肝 散 加 陳 皮 半 夏 」 は 『 保 嬰 撮 要 』 に あ る 「 抑 肝 散 」 に、 本 邦 で 陳 皮 と 半 夏 を 加 え、 常 用 処 方 と し て 用 い ら れ て き た 。 抑 肝 散 に 湿 痰( 濁 )を 除 く 力 が 加 わ り、 湿 濁 に 侵 さ れ や す い 日 本 人 に 適 し て い る も の と 思 わ れ る 。 神 経 症 や ノ イ ロ ー ゼ、 小 児 の 夜 泣 き や 癇 癪 持 ち や 不 眠 症 な ど の よ う に、 精 神 が 興 奮 し て い る 状 態 に 使 用 す る 。 認 知 症 の BPSD に も 使 用 さ れ る 。

抑 肝 散 加 陳 皮 半 夏 は 朮 ・ 茯 苓 ・ 陳 皮 で 脾 胃 の 働 き を 高 め、 湿 濁 を 除 く 。 柴 胡 と 川 芎 は 気 血 の 流 れ を 疎 通 し、 脳 に 清 気 を 昇 ら せ る 。 清 気 の 上 達 は、 気 血 の 鬱 滞 が 疎 通 さ れ た こ と で 得 ら れ る の で あ る 。 釣 藤 鈎 は 鬱 滞 し 化 火 し た 肝 気( 肝 火 )を 冷 や し、 脳 に 上 逆 す る 肝 火 を 降 ろ す 。 こ の 昇 清 ‐ 降 火 が シ ナ ジ ー と し て 働 き、 脳 の 働 き が 正 常 に 行 わ れ る 。

OD の 頻 用 処 方 に 補 中 益 気 湯 が あ る 。 人 参 と 黄 耆 で 補 気 し、 柴 胡 と 升 麻 と 黄 耆 で 清 気 を 昇 ら せ る 。 補 中 益 気 湯 は 虚 証 や 気 が 不 足 し て い る 者 に 用 い る た め、 気 を 発 散 さ せ る 働 き の あ る 柴 胡 や 升 麻 は、 少 量 の 使 用 に 止 め て い る 。 一 方、 抑 肝 散 加 陳 皮 半 夏 の 柴 胡 の 作 用 は、 本 来 は 気 の 鬱 滞 を 疎 通 す る た め で、 昇 清 は 二 次 的 に 得 ら れ る も の で あ る 。 し か し エ キ ス 製 剤( ツ ム ラ )の 柴 胡 の 量 は 1 日 量 7.5 g 中 2 ㌘ と 少 な い 。

こ れ は 抑 肝 散 証 で は 肝 火 が 上 逆 し 擾 乱 し て い る た め、 疎 通( 疏 散 )が 強 い と、 火 を ま す ま す 炎 上 さ せ る こ と に な る た め、 火 に 油 を 注 が な い た め の 配 慮 と 思 わ れ る 。 だ が 日 本 人 の 場 合 は、 慢 性 的 な 病 態 で あ れ ば、 少 量 の 柴 胡 で あ っ て も、 気 の 鬱 滞 を 疎 通 す る こ と が で き る の か も し れ な い 。 尚、 今 回 の よ う な 小 児 期 の 不 登 校 で は、 柴 胡 桂 枝 湯 と の 鑑 別 が 必 要 に な る 。 柴 胡 桂 枝 湯 は OD の 頻 用 処 方 で あ る 。

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テーマ:漢方・東洋医学 - ジャンル:ヘルス・ダイエット

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